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赤羽根医院ブログ

テレビでやらないがん予防法 子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)について

2019.08.12

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最近、テレビでは健康番組の枠がかなり増えたような気がします。効果が今一つはっきりしない健康法を「あれを食べると健康に良い」「あの習慣は健康に悪い」などとやっていますよね。
そんな番組がやっている一方で効果があるのにも関わらず過小評価されているのが予防接種です。(禁酒や禁煙、運動などもわりと過小評価されていると思います。)
中でも子宮頸がんワクチンは子宮頸がんという癌の発生を50-70%というかなり高い確率で防いでくれるにもかかわらず(そして無料で受けられるにもかかわらず!)日本では接種率が1%を割るという状態です。(平成29年で0.6%)そして当院のある江東区や東砂に住んでいる限りは放っておくと定期接種の通知すら届かないという冷遇を受けています。(実際のところ江東区では子宮頸がんワクチンの接種率は2%近くあるので、全国平均に比べればかなり高いとは言えますが、数字だけ見れば高いとは言えない値です。)
子宮頸がんワクチンはなぜこんなことになってしまったのでしょう

現在、日本では多くのワクチンが日本で定期接種となっており、大多数の方が接種を受けています。このなかで感染症ではなく、「がん」を予防するワクチンがあるのをご存じでしょうか。
もちろん全ての癌を予防できるわけではなく、子宮頸がんという種類のがんに限って…ではありますが。この子宮頸がんワクチンはかつては多くの人から早期の導入を待望され、鳴り物入りで定期接種に導入されたにも関わらず現在の接種率は1%未満と低迷している状態です。これは様々な副作用の報道の影響や厚労省が「積極的な接種を勧めない」と声明を出していることが大きな原因と考えられます。また、純粋に自治体から定期接種のお知らせが来ないというのも大きな原因の一つでしょう。
かつてはテレビなどでも危険性が盛んに報道されていましたが現在では報道機関も興味を失ったのか、ニュースが出てくるのも稀となっています。
とは言え、最近でも子宮頸がんワクチンに対する抵抗感は依然として強いようです。先日も予防接種を受ける子の親御さんに「次は子宮頸がんワクチンですね。」と言ったところ「子宮頸がんワクチンは危ないのではないですか?」という質問を受けたことがありました。子宮頸がんワクチンは受けない方がいいのでしょうか?それとも受けたほうがいいのでしょうか?
今回は子宮頸がんワクチンについて話をしていきたいと思います。

  1. 癌には、原因の分かっているものがある。

  2. 癌には原因が分かっていない(一つに定められない)もの(大腸癌など)と原因が分かっているものがあります。(原因をなくしてもごくまれに癌が発生することはあります。)
    原因の分かっているものの例としては頭頸部がん(舌、咽頭、喉頭、など)、食道がん、胃がん、肝細胞癌、そして子宮頸がんがあります。
    このうち頭頸部がん、食道がん、胃がん、肝細胞がんについてはいずれも慢性的な炎症が原因となります。頭頸部がんや食道がんは喫煙や飲酒、胃がんはピロリ菌による慢性胃炎、肝細胞がんは肝炎ウイルスなどによる慢性肝炎が原因となります。大腸がんについても慢性的に炎症を起こす病気(潰瘍性大腸炎など)では発がんの原因となることがわかっています。
    これに対して子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(以下HPV)と呼ばれるウイルスの感染によるものがほとんどだとされています。

  3. 子宮頸がんとは?


  4.   子宮頸がんは若年者に多い

    子宮頸がんは子宮の下の方にできるがんです。比較的若い女性がかかる事が多いのが特徴で、全世界では女性のがんによる死亡原因の第2位となっており、日本国内でも年間約1万人の方がかかっています。
    若い女性がなるため、完治したとしてもその後妊娠ができなくなったり早産の原因となったりする、長い期間を再発の不安を感じながら生きていくことになるなどの問題があり、その社会的な影響は大きいと思われます。
    子宮頸がんはほとんどの場合、ヒトパピローマウイルス(以下HPV)と呼ばれるウイルスの感染により起こります。(その中でも16, 18, 30, 31, 33, 35, 45, 51, 52, 58型などの一部の遺伝子型のものに感染した場合に癌の原因となります。)このウイルスは主に性行為により感染するウイルスですが、性交渉を行う女性のうち50-80%という非常に多数の方がHPVの感染を経験するとされています。癌の原因となる種類のHPVは人間の細胞に感染する際にp53やpRBなどのがん抑制遺伝子を機能できなくしてしまうとされています。しかし、感染した方が全員がんになるわけではなく、多くの人では1年以内にウイルスはいなくなります。感染によって子宮頸部に癌のもとになる細胞ができますが、これも通常は約3年以内に消えてしまいます。しかし、感染した方の約10%では3年以上感染しつづけてしまう人がおり、さらにその一部の方が数ヶ月から数十年の経過を経て子宮頸がんになってしまうとされています。

        HPVには多数の人(女性の50−80%)がかかるが、そのうち癌になるのは一部

    HPVは非常に多数の方がかかってしまう病気ですが、ワクチンにより(対応する型については)ほぼ完全に予防できる事がわかっています。このため、先進国の多くではHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を定期接種としています。日本でも2010年より公費助成が行われていますが、開始当初は70%以上の接種率だったものの現在は1%未満という状態です。

  5. 子宮頸がんワクチンはなぜ危険とされたのか?

  6. 子宮頸がんワクチンが定期接種となってしばらくたったころより、接種を受けた方に原因不明の神経症状が現れたという報告が相次ぎました。これに一部の医師や研究者が「脳と免疫系の異常である」「患児の神経細胞に特殊な物質の沈着が見られる」などとして子宮頸がんワクチンとの関連性を主張し、各報道機関などでも大きく取り上げられ、問題となりました。
    実際には子宮頸がんワクチン導入以前から、原因不明の長引く痛みを訴える子供が多数いる事は小児科領域の精神科や神経内科の医師の間ではよく知られていることだったようです。ワクチンによる薬害は、これまでも新たなワクチンが導入されるたびに報告があったものの、その後しばらくして鎮静化するという事を繰り返してきたのですが(ポリオやおたふくなど実際に副作用が認められた例もあります)、子宮頸がんワクチンの場合は接種そのものがほとんどされないという状態になってしまいました。実際にはワクチン否定派の主張はワクチン接種の有無によって神経症状の発生率が変化することを十分に証明することなく神経症状の原因をワクチンに求めたり、また原因を調査する遺伝子検査やマウス実験についても不適切なものが見られるなど十分に科学的とは言えないものも多くみられました。
    厚生労働省も神経症状とワクチンの関連性を認めなかったものの、2013年6月14日に子宮頸がんワクチンを定期接種に据えたまま「積極的勧奨を控える」との声明を出しました。
    2015年には名古屋市が副反応に関するアンケートによる調査を行い(回答率は43.4%、回答者のうち接種者の割合は69.47%)、これらの症状は子宮頸がんワクチン接種の有無よりも年齢により強い影響を受けているとする「速報」を出しましたが、すぐに削除されてしまい、その後正式な解析結果も出ないなど不可解なこともありましたが、2018年にはHPVワクチンと神経症状の関連性を示唆するマウス実験の論文が当初掲載されていた科学誌により撤回されたり、2019年には日本産婦人科医会がワクチンの積極的勧奨再開を求める要望を出すなど新しい動きもあります。

  7. 子宮頸がんワクチンは受けるべき?

子宮頸がんワクチンに関連する神経症状は海外では複合性局所疼痛症候群(CRPS)としてまとめられており、小児のCRPSは、英国のデータでHPV接種100万回に1人とされています。
また、日本を含む複数の国で行われた臨床試験をまとめた結果では、子宮頸がんワクチンを受けた人に重大な有害事象(有害事象というのは副作用だけでなく、ワクチンを受けた後に交通事故にあったり、ほかの病気にかかって亡くなるなどの場合なども含まれるので、数字そのものよりもワクチンを受けている群と受けていない群との比較が重要になります。)は7%とされますが、これはワクチンを受けていない群と同等となっています。

これに対して子宮頸がんは年間1万人程度がなるとされており、年間2,700人が死亡しているとされています。更に若い女性がなることから、完治してもその後妊娠ができなくなったり早産の原因となる、長い期間を再発の不安を感じながら生きていくことになるなどの問題があり、社会的な影響は大きいと思われます。
現在の子宮頸がんワクチンの接種年齢は11-17歳です。HPV自体は性感染症ですので(空気や飛沫感染するわけではないので)必ずしもこの時期に受けなければならないというものではありませんが、ウイルス自体としてはとても感染率の高い疾患でもありますし、性感染症は本人の意に添わずとも行われてしまう場合もあります。むろん副反応などへの注意は必要ですが、公費助成を受けられる時期に受けてしまうのをお勧めします。また、定期接種の場合は健康被害の救済制度もあります。

  • ワクチンだけでなく検診も

子宮頸がんワクチンは日本では2価ワクチン(サーバリックス)と4価ワクチン(ガーダシル)が承認されていますが、これらは子宮頸がんの原因となるHPVのうちで最も多い2種類を予防できるものです(4価ワクチンは尖圭コンジローマ(イボのようなものができる病気です)の原因となるHPVも同時に予防できます)。これにより子宮頸がんの50〜70%を予防できるとされています。現在子宮頸がんの90%以上が予防できる9価ワクチンも開発されていますが、日本ではまだ未承認となっています。子宮頸がんワクチンを打ったとしても子宮頸がんを完全に予防できるわけではありませんので婦人科などで定期的な検診も受けましょう。

  • 江東区で子宮頸がんワクチンを接種するには

子宮頸がんワクチンは現在も定式接種に指定されたままですが、2019年8月現在、江東区では、子宮頸がんワクチン予防接種の通知を停止しています。(これも接種率を低下させる要因と言えます。推奨をしなくても通知はすべきです。)このため、こちらから行動をしないと接種券がもらえません。希望する方は江東区の健康づくり係への届け出をして、接種券・予診票を送ってもらうと、無料で接種を受けることが可能になります。(江東区健康部(保健所)健康推進課健康づくり係 電話番号:03-3647-9487)
子宮頸がんワクチンの接種については当院でも受け付けております。接種を希望される方は事前にご相談ください。

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