赤羽根医院

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赤羽根医院ブログ

2019年のインフルエンザシーズン

2019.12.01

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10月まで暖かい気候が続いていましたが、急激に寒くなってきました。
さて、今年もインフルエンザが流行しつつあります。今年はラグビーワールドカップの影響などもあり当院でも早い時期からちらほらとインフルエンザの方が出ていましたが、寒くなってから本格的にインフルエンザの患者さんが増えてきています。
今回はインフルエンザについて最近分かったことやインフルエンザにかかった時の注意や予防などについてご紹介します。

  • ゾフルーザ 耐性インフルエンザが30%?
  • インフルエンザの治療についてはこの度かなりショッキングな報告がなされました。こちらの記事にも書いてありますがインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」を飲んだ15歳以下の患者の約3割から、薬の効かない耐性ウイルスが検出されたというものです。ゾフルーザは昨年に開発されたばかりの新しい抗インフルエンザ薬であり、1回飲むだけで治療が完結するとして急速に広まった薬です。この報告については、症例数は27人と多くありませんが、小児に対してゾフルーザの使用をためらうに十分な理由となりますし、大人についても、今までの抗インフルエンザ薬よりも明らかに耐性株が発生しやすいのは確かなようです。
    当院ではインフルエンザについては昨年より継続してイナビル(1回の吸入で治療が完結する抗インフルエンザ薬)を中心に使用しております。この薬はリレンザ(ザナミビル)という薬の改良型です。実は、イナビルについては海外での試験では十分な症状改善効果が示されなかったというデータもあるのですが(このため、海外ではイナビルはほとんど使われていません)日本での試験については十分な効果が示されています。また、イナビルのもととなったザナミビルは耐性株が発生しづらいことで知られています。当院では院内処方として、その場で吸入がしっかり行えたことを確認しています。また、吸入が困難な小さなお子さんなどはタミフルを使用しています。

  • インフルエンザ薬が異常行動を起こす?厚生労働省が添付文書の警告を削除
  • 抗インフルエンザ薬に付きまとってきた悪評の一つに異常行動があります。特に10代の子供については平成19年2月に、タミフル(オセルタミビル)を服用した中学生が自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという事例が2例報道され、タミフルの添付文書に「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。」という文章が追加されていました。
    実際にはこれらの症状はタミフルができる前からたびたび報告されており、インフルエンザ自体の症状(インフルエンザ脳症)によって起こっていた可能性が高いと以前から指摘されていましたが、これが認められ、昨年よりこの警告は削除されています。このため、現在ではタミフルは10代の方にも問題なく使用できます。

  • 紅茶?乳酸菌?根拠のない宣伝にご注意!予防の第一は予防接種です。

  • 昨年は三井農林(日東紅茶の会社)がテレビ番組などで紅茶がインフルエンザを防ぐとして、また今年は乳酸菌がインフルエンザを防ぐなどとしてヤクルトや明治乳業などが宣伝していますが、いずれも根拠がないのでご注意ください。
    紅茶については下のグラフを見ていただき、説明します。

        99%以上が「効果あり」 効果ありの基準は?

    こちらは三井農林が作成したサイトに掲載されているグラフですが縦軸を良く見ると感染阻止率90%と99%の間にかなり広い幅がとられた不思議なグラフとなっており、「効果あり」「十分な効果あり」の基準についても根拠がよくわかりません。また行っている実験の内容としても「熱い紅茶にインフルエンザウイルスを入れたら感染性がなくなった!」という以上のことは言えません。(そもそも熱湯でも多くのウイルスは感染性を失います)
    また仮に口の中のウイルスが活性を失っても鼻などからもウイルスは入ってくるし、紅茶をずっと飲み続けていなければウイルスは絶えず入って来るのでこれでインフルエンザが予防できるというのは難しいです。
    肝心の人間でのデータは「4 紅茶の飲用頻度が高いほど、インフルエンザ発病率が低い!」で出て来ますが、データ元がなんとWebでの社内アンケートになっています。三井農林社員の方の80%以上が予防接種を受けていないのも少々気になりますが、年齢や性別などの調整もされておらず、インフルエンザにかかったorかかっていないとする判断も曖昧で信ぴょう性に欠ける調査になっています。
    乳酸菌についてもヤクルト社が「インフルエンザに乳酸菌が効く」とする広告サイトを出していましたが、専門家からの指摘を受けて削除してしまいました。(菌未来レポートというサイトでしたが、現在は削除されています)
    明治乳業もR-1がインフルエンザの予防になるというWebサイトを作成しています。この研究ではR-1ヨーグルトを食べると免疫系の指標の1つであるNK細胞活性やIgAが上昇するとするデータなどを公表していますが、紹介されているのはいずれもマウス実験のデータや学会発表、盲検になっておらず、信頼度の低い(プラセボ効果を除去できていない)研究などで、信ぴょう性に欠けるものでした。(さらに言えばNK細胞活性やIgA自体もあくまで免疫系の指標の1つに過ぎず、これらが上昇すれば風邪やインフルエンザが防げるというものではありません)また、同社が行った研究のうちでwebページに掲載されていないものがあります。
    この研究は二重盲検ランダム化比較試験を行っており、質の高い研究といえるものです。夏に30〜49歳の健康な人を対象に夏風邪を防ぐ効果を確かめるために行われたもので、この研究によれば、R-1ヨーグルトを食べた群の方が、R-1ではないヨーグルトを食べた群よりも夏場の疲労感スコアは有意に低くなっていますが、免疫系の指標の1つであるNK細胞活性に差はほとんどなく、夏風邪を引く割合も、両群で有意な差がありません。この結果からはR-1に風邪を防ぐ効果があるとは言えません。
    責任ある大企業が健康に良いなどと根拠のない情報を流して自社の製品を売ろうとする姿勢には疑問を感じざるを得ませんが、それについてはまたそのうち記事を書きたいと思います。

  • 予防の第一は予防接種

  • これらに対して予防接種は効果が十分に確認されています。こちらにも書いていますが、インフルエンザワクチンは接種すれば必ずインフルエンザになるのを防げるわけではないですが、30-50%程度は発症を減らせるとされており、かかってしまった場合も重症化を防ぐことができます。免疫抑制や抗がん剤、ステロイドなどを使用している方は免疫がつきづらいですが、全くつかないわけではないので予防接種を受けたほうが良いでしょう。
    ただし、効果が出るのに2週間程度かかりますので流行が始まってしまってから接種を受けても意味がない場合がありますのでご注意ください。

  • シーズンになってからの予防はどうしたら良い?
  • インフルエンザの予防には予防接種がもっとも重要ではありますが、接種してから免疫がつくまでには時間がかかるのでシーズンになってしまってからでは手遅れです。
    シーズンになってからの対策は当たり前とも言えますが、マスク、手洗い、うがいです。
    インフルエンザは主に飛沫感染(感染者の唾や鼻水が口に入ることによって感染する)なのでこれらをブロックするだけでも感染率は少し低下します。(インフルエンザは一部は空気感染で広がります)シーズン中は人の多いところや医療機関に行くときはマスクをつけましょう。また、今までは部屋は加湿をしてあげたほうが良い(インフルエンザの活性が低下する)とされて来ましたが湿度によってインフルエンザウイルスの感染力は低下しないという報告も出てきており、加湿の効果についてはよくわからなくなっています。加湿を行なうのは喉などを保護するのにも良いと思いますが、特に超音波加湿器の場合は長期間放置すると内部でカビが繁殖したりする事もありますので定期的な清掃を忘れないようにしてください。
    うがいについては三井農林は紅茶うがいなどといっていますが、別に紅茶である必要はなく水道水で大丈夫です。また、手洗いは流水で10秒以上洗いましょう。インフルエンザだけならばアルコール消毒でもよいですが、アルコール消毒が効かないウイルスもいますので外出から帰ったときなどはしっかりと手洗いをした方が良いでしょう。

  • インフルエンザになってしまったら あるいは家族の方がインフルエンザになってしまったら
  • まずはマスクをして十分な水分を取り、家でゆっくりと休養を取りましょう。また、家族の方に感染を広げないようにマスクをしましょう。また、家族の方の看病をした後は自分にうつらないように手洗いやうがいをしっかり行うようにしてください。
    医療機関を受診すると検査の上で抗インフルエンザ薬を投与されることが多いですが、若くて健康な方にとっては抗インフルエンザ薬を投与しても熱が下がるのが少し早くなる程度です(それでも症状に苦しむ本人にとっては大きな差ではありますが)。逆にご高齢の方やお子さんは重症化する可能性がありますので早めの受診をお勧めします。しかし、抗インフルエンザ薬は細菌感染症に対する抗菌薬などと違い、急激に病態を改善させるほどの力はないので、あくまで重要なのは休養と栄養をしっかり取ることです。
    インフルエンザは主に呼吸器系の病気ですが、食欲がなくなることも多いです。無理に食べると吐いたりすることがあるのでお腹にやさしいものを食べるのが良いでしょう。また、高い熱が出ますので脱水には注意が必要です。水分や塩分をしっかり補充してください。
    十分な水分と休息を取れば多くの方は数日のうちには熱が下がってきますが、学校・会社などでは熱が下がった後2日は出席停止となっています。子供さんなどはこの頃には元気になってしまうので外に出たがりますが、この期間も他の方に感染しますので、出歩かないようにしてください。また、入院している患者さんの中には免疫力が低下したり、手術を控えていたりする方がいるので(手術前にインフルエンザにかかると手術が中止になることがあります)入院している人のお見舞いなどは絶対に行かない、行かせないようにしてください。また、経営者の皆様は職場にインフルエンザが広まらないよう、従業員が風邪を引いた際は無理をせず休みを取らせるようにしてあげてください。

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