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赤羽根医院ブログ

機能性胃腸症(機能性ディスペプシア FD)と過敏性腸症候群(IBS)

2020.04.09

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皆さんは体の調子が悪くて医者に行って検査をしてもらったのに「特に異常はありません」といわれてもやもやとした気分になったことはありませんか?

病気というものの中には「明らかに病気」というものもありますが、正常な状態と陸続きになっており、どこから病気とするか非常に判断しづらいものもあります。
そういった「病気」の多くは、かつては病気と判断されずに単なる不調として処理されてきたものの、医学の進化にともなって「これはやっぱり病気なんじゃないか」と診断され、治療されるようになる、という経過をたどっています。
たとえば精神科領域で言えば発達障害などもかつては病気とはされてこなかったものが近年になって病気として診断され、治療されるようになったものです。
今回ご紹介する機能性胃腸症(機能性ディスペプシア FD)と過敏性腸症候群(IBS)もそのような病気です。

機能性胃腸症(機能性ディスペプシア FD)

「機能性」「ディスペプア」ってなんのこと?

機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)といわれて、まず引っかかると思うのが「機能性」という言葉です。実は「機能性」という言葉は医学的には「器質性」という対義語があるのです。
器質性とは、画像検査(CTや内視鏡)や病理検査(顕微鏡での検査です)、採血検査などで(がんや炎症、代謝性疾患など)明らかな異常がある、という意味で、それに対して「機能性」とはそれらの検査で分かる明らかな異常がないという意味です。またディスペプシアというのは胃の痛みやもたれなどの不快な腹部の症状を指す言葉です。(ただし、一般の方にはわかりづらい言葉ですのでここでは「機能性胃腸症」と表記しています。)
つまり機能性胃腸症とは胸焼けや胃もたれなどお腹の調子が悪い状態が続くものの、検査をしても胃腸には明らかな異常がない状態という意味になります。
このような患者さんでは、胃の消化作用や収縮運動、さらに感じ方など、胃のはたらき(機能)がわるくなったことが症状の原因ではないか、との考えから「機能性胃腸症」という言葉が生まれました。胃腸はがんや炎症などの明らかな異常がなくても胃腸の機能は自律神経がコントロールしているため、メンタルの影響を受けやすく、緊張やストレスなどをきっかけに症状を起こすことがよくあります。また、発症には、食生活や生活習慣などの関与も指摘されています。

どんな症状が出るの?

代表的な症状は胃もたれや胸焼け、みぞおち(心窩部)の痛みなどです。これらの病気は胃炎や胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、胃がんなどが原因となることがあり通常は胃の内視鏡検査を行うこととなります。病気が見つかった場合はそれに応じて治療を行います。しかし、これらの症状があるのに検査をしても明らかな病気が見つからない場合に機能性胃腸症と診断されることになります。機能性胃腸症と診断する場合には他の重大な疾患が隠れていないか十分に注意する必要があるのです。

機能性胃腸症の人はどれくらいいるの

機能性胃腸症の患者さんがどれくらいいるかは、健康診断を受けた人(健診受診者)を対象に調べるか、病院などの医療機関にかかった人(病院受診者)を対象に調べるかによって結果がだいぶ異なります。健康診断では受診者のうち11~17%に、一方、病院にかかった人では44~53%に機能性胃腸症が見つかるといわれています。これらの数値から見ても、機能性胃腸症がとてもありふれた病気であることがわかります。

どうして機能性胃腸症になるの?

機能性胃腸症は実際には一つではなく様々な病状をまとめてそう呼んでいるものです。従ってその原因も一つではなく、場合によっては複数の原因が組み合わさって起こっている場合もあるとされています。下記のようなものが原因となっているとされています。

・胃腸の動きに問題がある
胃や腸には食べ物を肛門の方に送る作用があります(蠕動運動)が、同時に胃には食べたものを一旦溜め込んで消化してから送る(胃適応性弛緩)という働きがあります。胃が食べ物を送る速度が速過ぎれば、おなかが張ったり、すぐにお腹がいっぱいになるなどの症状が出ますし、うまく食べ物が送れなくなると胃もたれが起こります。
・胃腸の知覚過敏が生じている
胃腸が敏感な方は機能性胃腸症になりやすいと言われています。通常の方では特に不快感を感じない程度に胃が膨らんだだけでも機能性胃腸症の患者さんは胃がもたれたり、お腹が張ったりしてしまう事があります。また、十二指腸が胃酸や脂肪に対して敏感になって症状が出ることがあります。
・心理的要因やストレス
脳と腸管は相互に密接に関連しており、これを脳腸相関と呼びます。不安・抑うつ症状や生育期の虐待歴、強いストレスなどが原因となり、胃や腸の運動や感覚に変化が起こることがあります。
・胃酸過多
胃から分泌された酸が胃や十二指腸の粘膜を刺激して、症状の原因となる事があります。
・ヘリコバクター・ピロリ感染が原因となる場合
ピロリ菌の除菌により症状が軽快することがあります。
・感染性胃腸炎にかかった人
サルモネラやカンピロバクターなど、感染性胃腸炎にかかった後の方は機能性胃腸症になりやすいとされています。
・アルコール、喫煙、不眠などの生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れが機能性胃腸症の原因となることがあります。このため生活習慣を見直すことで症状が改善することがあります。
・胃の形状
胃の変形が症状と関わっていることがあります。

治療はどうするの?

・まずは診断から
機能性胃腸症を治療するにはまず始めに診断することから始めなければなりません。胃潰瘍や胃がんなどより注意すべき病気が症状の原因になっている可能性があるからです。
内視鏡検査やピロリ菌の検査、採血検査などにより機能性胃腸症と診断された場合は治療を行っていきます。
・生活習慣の改善
アルコールや喫煙、不眠などや脂質の多い食生活など生活習慣に問題がありそうな場合は生活の指導を行います。
・ピロリ菌の除菌
胃の中にピロリ菌がいる場合には除菌を行なうと改善することがあります。
薬による治療
これらの治療と並行して胃の動きを改善する薬や胃酸を抑える薬、漢方薬などを症状に応じて使い分けていくこととなります。
赤羽根医院では胃内視鏡検査のほか、機能性胃腸症に関する治療も行っています。症状のある方はご相談ください。また、内視鏡検査に不安のある方は鎮静剤、鎮痛剤などを使用したりする事も可能です。症状のある方は一度ご相談ください。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)って?

お腹の調子が悪い(下痢したり便秘したり)の状態が長期間続くものの検査をしても明らかな異常が見つからない状態のことを言います。およそ10%程度の人がこの病気であるといわれている、よくある病気です。女性のほうが多い、若い方の方が多いなども知られています。お腹の痛み、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。英語の略語でIBSと呼ばれることもあります。過敏性腸症候群には診断基準もあります。

過敏性腸症候群の診断基準(ローマIII基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す 1)排便によって症状がやわらぐ 2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする) 3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)

上の基準に該当する方は過敏性腸症候群の可能性があります。

どんな症状が出るの?

ざっくり言うと先ほどの診断基準の症状になるわけですが、代表的な症状を言うと腹痛が起こって下痢や便秘になり、排便することで一時的に症状が治まるというものです。膨満感、お腹が鳴る、無意識にガスが出るなどの症状が現れることもあります。睡眠中に症状が現れることはなく、緊張やストレス、食事などによって症状が現れやすい傾向があります。症状により下記の4タイプに分けられ、それぞれの症状やお悩みに合わせた治療が必要です。
下痢型
激しい腹痛が突然起こり、水のような下痢が出て症状が解消します。1日に数回、こうした症状を繰り返すこともあります。通勤や通学、会議、打ち合わせ、テスト、旅行など、トイレに行けない時間がストレスになり、それをきっかけに症状を起こして外出が不安になるという悪循環を起こす事により、日常生活に大きな影響出る事があります。トイレに行けないのが心配で駅間の時間が長い快速列車や急行列車に乗れないので各駅停車症候群などと呼ばれることもあります。男性に多くみられます。
便秘型
腸が痙攣を起こして便が滞り、腹痛を起こします。また強くいきまないと排便できず、硬くコロコロしたウサギの糞のような便が出ますが、残便感があります。強くいきむことが習慣化し、便が硬いため、痔を発症しやすくなります。女性に多くみられます。
交代型
激しい腹痛に加え、便秘と下痢を繰り返すタイプです。
分類不能型
膨満感、お腹が鳴る、不意にガスが出てしまうなど、下痢や便秘以外の症状が現れるタイプです。

どうして過敏性腸症候群になるの?

過敏性腸症候群になる原因についてはまだよく分かっていない事も多いのですが、腸の知覚過敏が主な原因だと言われています。
腸は食べ物を消化・吸収すると同時に消化して余ったものを便として体の外に排泄してくれます。これを行うために腸は食べ物を口から肛門に向けて移動させる運動をしており、同時に腸の変化を感じ取る知覚機能も備わっているとされています。運動や知覚は脳と腸の間の情報交換により制御されています。ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、また、痛みを感じやすい知覚過敏の状態になります。この状態が慢性的に続いているのが過敏性腸症候群なのだと言われています。
強いストレスを受けた場合の他に、細菌やウイルスによる感染性腸炎にかかった場合には、回復後に過敏性腸症候群になりやすいとされています。感染によって腸に炎症が起き、腸の粘膜が弱くなる事や、元々私たちの腸の中にいた細菌(腸内細菌叢・腸内フローラ)のバランスが崩れてしまったりする事で腸の運動や知覚機能が過敏になってしまうためだと言われています。

過敏性腸症候群の治療はどうするの?

・まずは診断から

先程の診断基準(ローマIII基準)に該当する方は過敏性腸症候群の可能性があります。ただし、そのような症状が大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やCrohn病)などの危険な病気によって引き起こされている可能性もありますので、大腸の検査を行います。特に血便や発熱、体重減少、異常な身体所見などの危険な兆候が見られる方、50歳以上の患者さん、過去に大腸の病気にかかったり、家族にそうした方がいるなどの危険因子がある患者さんに対しては、大腸内視鏡検査を行います。
甲状腺機能異常症などの内分泌疾患や糖尿病性神経障害、寄生虫疾患が症状の原因となる場合もあり、アラームサインや危険因子がない場合でも、血液検査、尿・便検査を行います。

・治療について

治療についてはまず、生活習慣の改善が重要です。
3食を規則的にとり、暴飲暴食、夜間の大食を避け、食事バランスに注意したうえで、ストレスを溜めず、睡眠、休養を十分にとるように心がけてください。刺激物、高脂肪の食べもの、アルコールは控えてください。
生活習慣を改善しても症状がよくならない場合はお薬による治療を行います。
薬物療法で最初に用いるお薬としては、消化管機能調節薬と呼ばれる腸の運動を整える薬や、整腸薬(乳酸菌などの製剤)、あるいは高分子重合体といわれる水分を吸収し便の水分バランスを調整する薬があります。これらのお薬は下痢症状が中心の方、便秘症状が中心の方のどちらにも用いられます。
また、腸の運動を異常な運動を和らげる薬や便を柔らかくする薬などを患者さんの症状に応じて使い分けて治療を行なっていきます。

赤羽根医院では大腸内視鏡検査のほか、過敏性腸症候群に対する治療も行っています。症状のある方はご相談ください。また、内視鏡検査に不安のある方は鎮静剤、鎮痛剤などを使用したりする事も可能です。症状のある方は一度ご相談ください。

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