赤羽根医院

ご予約・お問い合わせ

アイコン

メニュー

午前
9:00 - 13:00
午後
15:00 - 18:30
休診
木曜午後・土曜午後・日曜

03-3648-3622

東京都江東区東砂2丁目11-27[地図

赤羽根医院ブログ

その熱は本当に発熱外来?お尻が腫れて熱が出るのは肛門科へ。

2020.12.20

カテゴリー:

最近は新型コロナウイルスの感染者が非常に増えてきており、医療機関(特に重症の患者さんを見る大病院)の苦しさが伝えられています。
そこで注目を集めているものの一つが「発熱外来」というものだと思います。
しかし、最近当院に来られている患者さんの状態を見ると、発熱外来が必ずしも有効に機能していない場合が多くみられます。これについては医療従事者の側で気を付けるべき点もありますが、実際に受診される患者さんの側で注意が必要な点もあります。

「発熱外来」の実際

発熱外来の本来あるべき姿としてはあらゆる発熱のある患者さんを見て、その原因を調べ、必要ならば感染症の検査を行い、治療をする。という事になるでしょうが、実態としてはそうではありません。
現在の「発熱外来」というのは実際には「コロナ検査を行う外来」であり、コロナウイルスの検査を行う事と、周囲の患者さんや医療従事者への感染を防ぐことの二点のみを重視した外来となっています。従って屋外や仮設テントなどに外来があることも多く、発熱以外にお尻が腫れている、お腹が痛い、血便が出るなどの症状があっても、かなり寒い上に外から見えたりする可能性があるので、服を脱いでもらう診察などは難しくなります。

実際に、当院を受診する前に発熱外来を受診された方の中には、肛門周囲膿瘍や細菌性腸炎、扁桃腺炎といった方がおられ、いずれの方も発熱外来ではコロナウイルスの検査を行うのみで適切な治療は行われていなかったという実態があります。

これらは決して発熱外来を行っている医師に責任があるわけではなく、現在の発熱外来に課せられた機能のせいであり、発熱外来の限界と言えるかもしれません。
しかし、こういった行き違いが起こると患者さんにとっては無駄なお金を使ったり治療が遅れたりするはめにもなるので、患者さんの側でも注意が必要です。

のどが痛くて熱が出るのは発熱外来へ

のどが痛くて熱が出るとして発熱外来を受診するのは仕方がありません。のどが痛いのはコロナウイルス肺炎の症状の一つです。(のどが痛いのも熱が出るのもコロナウイルスだけではない、というのが頭の痛いところです。)また、感染予防のため、咽頭の診察を省略する医療機関があるのも仕方のないことではあります。熱が出てのどが痛い病気はたくさんあり、多くは「いわゆる風邪」(本来のコロナウイルスは風邪の一種です)になりますが、細菌性の扁桃腺炎などは抗生物質をしっかり服用する必要があります。
実際のところ、のどについては何とか診察している医療機関も多いです。

お尻が痛くて熱が出るのは肛門科へ

お尻が痛くて腫れていて熱が出るときに(のどが痛いとか咳が出るなどの症状がある場合は別ですが)発熱外来に行くのは、ほとんどの場合時間の無駄です。

お尻が痛くて腫れているのは多くの場合は肛門周囲膿瘍という、膿みがお尻にたまる病気であり、この病気はひどくなると高熱が出ます。
熱が出ているのは血液の中にばい菌が入ってきて全身を駆け巡っている状態(菌血症といいます)なので危険な状況でもありますし、この状況が続くと周囲に膿がたまっていくだけでなく周囲に炎症が広がり、長期にわたって治療が必要になる場合もあります。また、膿が広範囲に広がると、より大きな手術が必要になり、再発や術後の肛門機能障害(便が漏れるなど)が問題となることもあり、時間の無駄なだけでなく、その後に響く事がありますので早めに肛門科にいって膿を出してもらいましょう。
ただし、熱が出ている場合は受診の前に連絡をした方が良いでしょう。当院では熱の出ている方は別の動線で専用の待合室にご案内していますが、発熱の患者さんが相次いだ場合には再来院していただいたりする場合があります。

下痢をして熱が出るのは最初は発熱外来でも良い、ただしお腹の痛みがひどい場合や、お尻から出血したりしている場合は胃腸科や消化器科へ

コロナウイルスの初期症状で下痢が起こる場合があるのは知られています。
しかし血便が出たり、ひどい腹痛が出たりというのは新型コロナウイルスの症状では説明がつかない場合が多いです。がんや消化管出血、食中毒などの可能性もありますので早めの対応が必要となります。
これらの病気の場合は早めの治療ができないと入院が必要になる、もしくは入院期間が延びるなどの問題が起こることが多いです。また、がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病などの、腸に炎症が起こり、血便や発熱を起こす病気)の場合は早めに来院すれば必要なかったはずの緊急手術が必要となってしまう事もありますので、早めにお近くの胃腸科や消化器科にご相談ください。
ただし、熱が出ている場合は受診の前に連絡をした方が良いでしょう。当院では熱の出ている方は別の動線で専用の待合室にご案内していますが、発熱の患者さんが相次いだ場合には再来院していただいたりする場合があります。

当院は消化器や肛門を見ているため、これらの例となりましたが、その他にも髄膜炎や蜂窩織炎、肝炎や白血病、がんなど、熱が出る病気でコロナウイルス以外の緊急疾患は多数ありますので、発熱があっても咳や呼吸苦がない場合は、かかりつけの先生やそれぞれの専門の医療機関にもご相談ください。

「医療崩壊」で本当に困るのはコロナ肺炎「以外」の患者さん

コロナウイルスによる「医療崩壊」が叫ばれていますが、医療崩壊は段階を踏んで起きるものであり、既に起きています。「若いし、コロナウイルスとかかかっても大丈夫!」 「もしくは家に引きこもって感染しないようにしているから関係ないね。」などと思っている方もおられると思いますが、これらは大間違いです。特に、コロナなど関係ないとばかりに忘年会で大量に飲酒したり、逆に家に引きこもっているのは大きな問題があります。
コロナウイルス肺炎に対しては多くの病院や自治体、国などが対策を強化しており(間に合っていない部分も多いですが)病床などを増やしています。
その上で、実際にコロナウイルス肺炎とわかれば保健所の側で何とか入院を調整しているので、コロナウイルス肺炎の治療ができなくなるのは医療崩壊のがかなり進んだ状態といえるでしょう。もちろん、比較的軽症の患者さんについては医療資源が足りなくなれば自宅療養という形が主体にはなっていくと思われますし、既にそのようになってきている自治体も多数あります。

コロナウイルス肺炎については決してただの風邪ではなく、少なくない人が重症化することがわかってきていますが、現在のところ国の最優先課題になっていますので、医療体制については比較的保たれていくものと思われます。

一方でワリを食っている分野があります。それが事故による外傷、心臓や脳などの病気に対する救急治療に、がんや心臓などの予定手術ではあるけれどけして不要不急ではない手術などは削減されています。手術だけでなく「がん」については診断数も減っています。癌になる人が減るというのは通常では考えられないため、これは検査を後回しにしてしまい、発見が遅れている、と考えるべきでしょう。発見が遅れてしまったがんは後になってより大変な治療が必要になってきます。

また、年末は急性アルコール中毒が増える時期ですが、急性アルコール中毒の患者さんは、暴れて職員がけがをする場合がある、連絡先が分からなかったりするなどして、以前から大変に手間がかかるため、どこの病院も受け入れに消極的ですし、実際に受け入れると少ない医療リソースを圧迫してしまったりします。実際のところアルコール中毒の方は受け身を取らずに転んでいて本当に脳出血などの命にかかわるケガをしている事も多く、全く転送先がなくなってしまった場合はそれなりの犠牲者が出ることが予想されます。
現在は集中治療室や救急医療などの人員がコロナ対応に回されて削減されてきているうえに、救急時の対応にも防護服やN95マスクをつけて行うため、個々の対応についてもかなり効率が低下しており、救急医療の受け入れ能力は限界に達しています。

引きこもっていればコロナウイルスにかかることはないかもしれませんが、特に生活習慣病を持った高齢者の方が引きこもると糖尿病や高血圧などの持病が悪化してくることが多いです。これらは心臓病や脳梗塞、がんなどの危険性を大きく上げます。

コロナ以外の予防も大事

救急医療の受け入れ能力が限界に達すると本当に困るのはコロナ肺炎となった方々ではなく、交通事故などの外傷や心筋梗塞、脳梗塞、胃腸に穴が開くなどの緊急疾患になった人などです。
この年末年始はそんな体験をしないためにもできるだけ救急車で運ばれるような病気のリスクは下げておかねばなりません。極端に引きこもっても他の病気のリスクが上がりますので普段通りの日常生活をすることが重要です。
コロナ対策のためには「屋内ではマスクをする」「マスクなしで他人と話さない」「帰ってきたら手洗いする」「人があまりにも多いところにはいかない」「忘年会などハレの行事はできるだけ延期」「職場での食事中は会話をせず、マスクをしてから会話」などが重要です。当たり前の事ばかり言っていますがその当たり前のことが重要なのです。
その他の病気を予防するためにも、持病がある場合は薬を切らさない、運動ができる方はしっかり外に出て運動するなどの対策が必要です。また、健康状態に不安を感じたら医療機関が通常通りやっているうちに受診しておくようにしましょう。

COPYRIGHT ©2020 AKAHANE CLINIC. ALL RIGHTS RESERVED.

このページの上部へ

メニューを閉じる