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赤羽根医院ブログ

進化するスマートウォッチと医療

2021.01.31

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皆さんはスマートウォッチというものをご存知でしょうか?
apple社のapple watchやサムソン電子のgalaxy watchといった機種が代表的な商品です。
これらの商品が販売を開始した当初は、「メールやSNSが時計で見られる」、とか「時計で電話できる」といった要素が強調されており、「これなら別にスマートフォンを取り出せばいいんじゃない?」となってしまう、誰が使うのかよくわからない製品でした。
しかし、これらの商品はこの数年の間に急激な進化をしており、今後の医療分野に革命を起こす可能性があります。
今までは若い方や流行に敏感な方がスマートウォッチをつけているというイメージがありましたが、これからは「中年になったらスマートウォッチ」「生活習慣病になったらスマートウォッチ」という時代が来るかもしれません。

もともとスマートウォッチは常に腕につけているという特性から、心拍計や万歩計、活動量計などが付いている製品がありましたが、最近のスマートウォッチの進化はこれにとどまらず、あらゆる生体情報がチェック出来るようになってきており、今後もその種類は増えていきそうです。

心電図

今回(2021年1月)、Apple Watchで心電図が測定できるようになったのが大きな話題となりました。もともと、Apple Watchの心電図機能は2018年にはついていたのですが、医療機器としての認証の問題があり、日本では使用できませんでした。今回アップルの心電計機能が、日本の厚生労働省の所管機関である独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)から管理医療機器として承認を受けたことで、日本でも心電図機能が使用できるようになりました。

また、他のスマートウォッチ(galaxy watchやScanWatchなど)でも機能はついているのものがあるのですが、日本ではまだ医療機器としての承認が下りておらず、使用できないものが他にもいくつかあります。

心電図というのは心臓の筋肉の動きによって起こる電気の流れを捉えて図にする医療機器です。
不整脈や、狭心症、心筋梗塞などの心臓発作を発見することができますが、これまでは医療機関に行くか、ホルター心電計(常時心電図をとり続ける機械です)という特殊な機械を装着しなければ心電図をとることができませんでしたが、この機能を使うと(簡易的ではあるものの)いつでも心電図をとることができます。特に不整脈などではドキドキしている、脈が飛ぶなどの症状があっても、その時に心電図を取らないと不整脈をとらえられない場合がありました。
ドキドキする、脈が飛ぶなどの症状で来院された場合、心電図をとったり、ホルター心電図で1日心電図をとり続けてもらうわけですが、やってみてもその時やその日には不整脈が出ず、空振りに終わることもしばしばありました。
スマートウォッチの心電図機能は竜頭やボタンを触ることによって心電図を取る形となります。(心電図は体に最低二つの電極をつけないと取れませんので、その代わりと思われます)さすがに心電図を常時測定し続けることはできませんが、ドキドキするときや脈が飛ぶとき、もしくは胸や肩が痛いときなどに、この機能を使うと、不整脈や心臓発作などを早期に発見できる可能性があります。
もちろん、機能には限界があり、通常の心電図は9個の電極をつけ、12種類の波形を測定しますが、この機能でとれる波形は1種類だけです。(apple watchの場合)
また、現状では不整脈の検出ができるとうたっていますが、狭心症や心筋梗塞などについては電極の数などの問題もあるのか、検出できるとは宣伝していないようです。胸や肩が痛いなどの症状がある場合はスマートウォッチの心電図で問題ないからといって過信せず、一度お近くの医療機関を受診してみてください。

血中酸素飽和度モニター(パルスオキシメーター)

血中酸素飽和度モニターはコロナウイルスが流行しだしてから話題に上がることが増えています。
通常の血中酸素飽和度モニターは指先や耳などに光を当て、反対側から出てくる光の波長を測定します。赤血球は酸素が不足すると色が暗くなり、酸素が豊富だと明るい色になることから、センサーがその色を測定することによって、酸素飽和度をパーセンテージで表示しています。このためマニキュアをつけたり、光が当たったりすると誤差が大きくなることがあります。
スマートウォッチは指先ではなく腕につけているため、この方法で測定することは難しいので腕に光を当てて、反射する光の波長により血中の酸素の量をはかっています。
心電図とは違い、まだ新しい技術のため、まだ誤差が大きかったりするようですが、誤差が減少してくれば喘息や肺気腫といった呼吸器の持病を持った患者さんや今回のようにコロナウイルスなどの肺炎にかかってしまった患者さんの状態確認に活躍するかも知れません。
ただし、通常の指につける血中酸素飽和度モニター(パルスオキシメーター)はもっと安価に買うことができます(数千円程度です)し、その安価なパルスオキシメーターの方が精度が高いことは忘れてはいけません。

睡眠時無呼吸モニター

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。太っている、扁桃腺が大きい、顎が小さいなどにより眠っている間に空気の通る道が塞がってしまう事が主な原因となります。
睡眠時無呼吸症候群があると質の良い睡眠がとれず、日中の眠気などの原因となるだけでなく、高血圧や心血管疾患や脳血管疾患などを悪くしてしまうとされていますので早期に発見する事には意義があります。
この機能は2021年1月現在では国内では搭載した商品がないのですが、上記の血中酸素飽和度モニター(パルスオキシメーター)の技術が安定したところで搭載されてくると思われる機能です。(wthings社のScanWatchなどにはこの機能がついていますが日本国内では認可の問題で使用できません。)
血中の酸素や脈拍を常時測定することができるのであれば、睡眠中に呼吸が止まって酸素飽和度が低下したり、血圧が上がったりした場合に記録したりする事が可能になるでしょう。睡眠時無呼吸症候群を早期に発見することができるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群については軽症の場合は減量や横向きに寝ることで治療できる場合もありますが、マウスピースの作成や人工呼吸器のような装着(CPAP)をつけたほうが良い場合もあります。いずれにせよ、血中の酸素が正確に測れるようにならないと実用化は難しいので、その機能が完成される事を期待しています。

持続血糖値モニター

血糖値についてはこれまで、細い針で指先に傷をつけ、少量の血液を採取して血糖値を測る方法が主流でした。
比較的最近になって腕に電極を張るタイプ(2週間)の血糖モニターが開発され、重症の糖尿病の患者さんに使用されるようになっています。(皮膚の下に埋め込むタイプもあります。)
この腕に張るタイプのモニターを使うことで最近多くのことがわかってきています。(血糖値がしっかり下がっていると思われた人でも意外と食後に血糖が上がっていたりすることや、同じものを食べても食事をする順番などによってもかなり血糖の上がり方が違う事などがわかってきました)

こちらは糖尿病のある患者さんだけでなく、家族に糖尿病の人がいる場合や血糖値や肥満が気になる人など、多くの人の助けになりそうな機能です。
糖尿病が発見できるというのはもちろんのこと、ある程度の精度があり、交換部品無しで使用できるのであれば、すでに糖尿病がある方にとっても非常に役立ちます。(現在の持続血糖モニターの電極は1枚7500円くらいしますが、糖尿病のある方の中でも医療保険でカバーできる人はごく一部です。)
ただ、皮膚に接着する電極なしで血糖値を測るとなると汗などによって誤差が出てこないかなど気になるところではあります。(現在の持続血糖モニターは汗などで電極がはがれてしまう場合などがあります。)血糖値が下がりすぎると冷や汗が出たりしますのでそれによって測定値が大きく狂ってしまったりするとすれば少々微妙かもしれません。

異常の有無にかかわらず、症状がある場合は医療機関に相談を

いかがだったでしょうか?どの機能も私個人としては大変興味があり、ぜひ使ってみたいものです。(残念ながら筆者はiPhoneでないのでまだ当分お預けです。)
いずれの機能も正しく使用できれば非常に便利で、病気の発見に役立ちますが医師ではなく、医学知識のない人が最初に判断するという点に大きな問題があります。検査についての十分な知識がなければモニターの異常値が示す事や各モニターの誤差や限界などを正しく判断できない場合があるからです。
もちろん、スマートウォッチのモニターが病気の早期発見に結び付く可能性は十分にあるので、異常値が表示された場合は一度医療機関にご相談いただく事をお勧めします。(精密検査の結果、異常がないこともあります。)また、症状がある場合は、たとえスマートウォッチのモニターで異常がない場合であっても自分で判断することなく、一度医療機関にご相談いただく事をお勧めします。

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