赤羽根医院

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赤羽根医院ブログ

痔の手術と大腸内視鏡-当院で痔の手術時に内視鏡をおすすめする理由

2025.11.13

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当院で痔の手術を行う場合は、事前に大腸の検査をおすすめすることがよくあります。
実際には希望されない方や、つい最近に他院で受けて来院される方もおられるので、全員に受けていただいているわけではありませんが、痔の手術前の方にはできるだけ受けていただくようにしています。
この必要性については実際に患者さんから質問を受ける機会も多いものです。
今回は、これまであった代表的な事例などを紹介しつつ、痔の手術前の大腸カメラの必要性についてご説明して行こうと思います。

まず大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?

大腸内視鏡とはおしりから大腸の中に、先端にカメラの付いた軟らかい棒のような機械を入れていき、先端のカメラで大腸の中を見ていくものです。当然大腸の中は真っ暗ですが、カメラから強い光が出ているので、それで大腸の中を撮影して行きます。胃カメラ検査を受けたことのある方はそれの少し太いものだと思っていただくとよいでしょう。
病気がある場合にはそこから細胞を取って検査をしたり、比較的小さな病気であればそのまま切除を行って治療をしたり、場合によっては出血しているところにクリップを打って出血を止めることも可能です。
大腸カメラの検査についてはこちらを御覧ください

内痔核(いぼ痔)の場合

痔核(いぼ痔)は排便時に脱出したり、出血したりする病気です。詳しくはこちらを御覧ください。

大腸がん、大腸ポリープ

これについては当院でも、また以前に勤務していた病院でも多数ありましたが、これを見逃してしまうのは大変に危険です。痔の手術は多くの場合、1年程度は遅らせても問題ないことが多いのですが、がんは1年間発見が遅れると手遅れになってしまうことも多く、また手遅れにならない場合でも1年前ならば内視鏡で治療できたものが手術をせざるを得ない状態となったり、手術によって人工肛門(ストマ)としなければならなくなったりする場合があるからです。できるだけこのようなことが起こらないようにと願いつつ、特に大腸検査の経験がない方についてはできるだけ検査をおすすめしています。
このようなことが時々起こるのは、大腸がんは進行してくると出血することがよくありますが、これを痔の症状と間違えてしまうためです。大腸の奥の方から血が出ている場合、色などで区別がつきますが、比較的おしりから近い場所の出血の場合は、出血の色も変わらない場合もあります。逆におしりに非常に近い場所のがんやポリープは肛門鏡や肛門の診察でも見つけることができますが、少し離れてしまうとこれらの検査で見つけることは難しくなります。
このため、大腸内視鏡検査が必要になります。
また、大腸がんは便秘の原因ともなる事があり、便秘になったと勘違いして長時間いきむことにより実際に内痔核が悪化してきてしまう方もおられます。このため、手術が必要ないぼ痔と大腸がんが同時に存在している、という状態はけして珍しくはありません。
特に出血がある方や40歳以上で大腸検査を受けたことのない方はできるだけ受けていただくようにしています。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎も出血や粘液、渋り腹などの症状がありますが、これらも痔や便秘などの症状と勘違いされてしまう場合があります。潰瘍性大腸炎では場合で肛門の近くに病気がある場合が多いため、肛門鏡で診断できる場合も多くあります。しかし、肛門の近くに病気がないものもあり、この場合は大腸内視鏡を行って初めて潰瘍性大腸炎と診断される場合があります。
特に長期間にわたり、肛門に注入するタイプの軟膏を使用されている方は注意が必要です。実はこの軟膏の中にステロイドという炎症を治める成分が入っていることも多いのですが。この成分は潰瘍性大腸炎を治療する効果があります。ただし、この効果は腸全体ではなく、軟膏の届く範囲のみに出てくるため、肛門から10cmも入ると効果はありません。この作用によって肛門の近くだけ炎症が良くなってしまっている場合があります。
これにより肛門鏡で見える部位では炎症が改善してしまっており、肛門鏡では病気に気づくことができなくなってしまっていることもあります。潰瘍性大腸炎については若い方でもかかる場合があるため、長期にお腹の不快感や血便などが続く方、長期に痔の軟膏を使い続けている方については若い方でもできるだけ内視鏡をおすすめしています。
また、潰瘍性大腸炎の状態が悪い方は手術後の傷の治りも良くない傾向にあるため、このような場合は手術はいったん延期して、潰瘍性大腸炎の状態を改善してからもう一度手術を行う必要があります。

痔ろうの場合

痔瘻はおしりにしこりや腫れができ、痛くなったり、膿が出たりする病気です。詳しくはこちらをごらんください。

クローン病

痔瘻の場合は大腸内視鏡をできるだけ行うようにしています。これはクローン病の方をできるだけ発見するためです。クローン病は炎症性腸疾患と呼ばれる病気の一つです。下痢などを起こすことのある病気ですが、痔瘻も引き起こすことを知られています。クローン病は体内の様々なところに瘻孔(あな)を作ることがあり、肛門もそれができる代表的な場所の一つです。この穴はいろいろな場所にでき、例えば腸と腸が横穴でつながってしまったり、膀胱(おしっこを貯める袋)腸がつながってしまったりとかなり厄介な症状です。
また、クローン病がもともとある人はそのままの状態で痔ろうを手術すると手術後の傷の回復がかなり悪くなる傾向にあるため、クローン病が見つかった方については手術はいったん延期として、事前に病気を落ち着かせてから手術を行ったり、違う方法で手術を行うかなど検討する必要があります。
特に若い方や複数の痔瘻がある方についてはクローン病の疑いが強くなるため、できるだけ大腸内視鏡を行うようおすすめしています。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎はクローン病ほどに痔瘻を起こしやすいわけではありません。しかし痔瘻は下痢によって引き起こされる面があり、潰瘍性大腸炎自体が持続的な下痢をひき起こすため、痔瘻の原因となる場合があります。潰瘍性大腸炎についても病気の状態が良くない時に手術を行うと傷のなおりが遅くなってしまう場合がありますので、いったん手術を延期して潰瘍性大腸炎の治療を行う必要だある場合もあります。

このように痔の裏にも様々な病気が隠れている場合があり、当院では手術を行う前には大腸検査をおすすめすることがよくあります。日程が忙しい、下剤を飲むのが大変、など様々な問題はあるかと思いますが、ご自分の健康を守るためですのでできればご協力をお願いします。

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